検査技師の業務

病院と検査センターでできる検査の違い

2021年4月19日

今回は病院でしかできない検査と検査センターでしかできない検査の違いについて書いていきます。

 

 

病院と検査センターでは生化学検査など共通する検査内容もありますが、異なる検査内容もあります。

採血で検査する内容の大体は検査センターでできてしまうことが多く、病院では頻繁に検査される内容しか検査されません。

病院は株式ではありませんが、ある一定以上の利益は出さないといけません。

 

小規模病院では採血したら、検査センターに全て外注することが多いです。院内で測定をしようとすると、導入する機械だけで何百万円、何千万円、試薬等を維持するだけで多額の費用が掛かります。

 

病院の検査室内でどの検査項目を検査するかは病院によって異なります。

病院の病院長などの上層部や経理課と検査室との話し合いによって決まります。

逆に、検査センターは株式会社であることが多いので、病院以外から利益を得ることができるので、特殊な検査をすることができます。

経済的な面も含めて書いていきます。

 

 

今回の記事内容

  • 病院でしかできない検査は患者がその時、その場でしかいないとできない検査
  • 検査センターでしかできない検査は面倒くさい内容の検査

 

 

 

 

病院でしかできない検査内容

採血、血液ガス、生理機能検査、術中迅速診断は病院内でしかできない検査内容です。

これらの検査内容はその時その場でしか検査ができません。

 

アンモニアと凝固も基本的には病院内で検査した方が良い項目です。

 

病院でしかできない検査

患者がその時、その場にいないと検査をすることができない検査内容

血液ガス生理機能検査病理検査

 

ナオキ
当たり前ですが、採血は検査センターではできません。
寧ろ、患者さんから採血した検体を預かって検査をします。

 

 

血液ガス

血液ガスは救急患者など至急でHbや血糖値などを知りたい場合に検査をします。

他にも血中のpHや酸素濃度、二酸化濃度などを知ることができます。

間の経過と共に検査数値が変化していくので、直ぐに検査しなければいけません。

 

 

生理機能検査

心電図、エコー、脳波検査などが生理機能検査になりますが、患者さんがその場にいて、その時に検査しないと意味がありません。

 

注意ポイント

24時間ホルター心電図検査の取り外しは病院でやりますが、解析は検査センターの場合もあります。

 

 

術中迅速診断

術中迅速診断は手術中に行う検査ですので、検査センターで実施することはないです。

 

 

アンモニア、凝固

アンモニアは採血してから直ぐに検査しなければいけません。

アンモニアは採血後にそのまま放置していると、アンモニアの濃度が上昇してしまいます。

検査センターに外注することも可能ですが、作業が面倒くさいです。

採血後直ぐに遠心分離し、上清を徐蛋白液入り容器に入れ、凍結保存する必要があります。

 

 

凝固も採血してから直ぐに検査をする必要があります。

時間の経過とともに凝固因子の活性が低下し、APTTが延長してしまいます。

採血後、遠心分離し、血漿を凍結保存する必要があります。

 

 

 

 

検査センターでしかできない検査内容

検査センターは採血で検査する内容のほとんどを検査することが可能です。

逆に、検査センターにしかできない検査は多くあり、私自身把握しきれません。

 

 

病院は時間が掛かる検査コストの掛かる検査は基本的に実施しません。

病院は直ぐに結果を知りたい検査しか実施していません。

また、検査をする割に検査する以上の利益を得ることができない検査などコストが掛かってしまう場合、検査センターに外注します。

この他にも小規模病院で検査機器を導入すると費用が掛かる場合など様々な理由で検査できないこともあります。

もっとわかりやすく言えば、病院では色々と面倒くさい検査は検査センターに委託させます。

 

検査センターでしかできない検査

病院で検査すると、時間やコストなど手間暇がかかる検査を検査センターが実施している

 

 

ナオキ
面倒くさい仕事は外注に仕事させた方が楽と考えるのと一緒です

 

 

時間が掛かる検査

イメージしやすい検査は細菌培養、染色体検査です。

細菌も染色体検査も培養させた後に検査をすることができます。

培養は時間も掛かりますし、手間も掛かります。

培養が終了する時間によっては夜中になることもあり、その検査のためだけに仕事をさせるのは無駄だと考えます。

そのため、病院は時間や手間、人件費も掛かる検査は検査センターに委託させます。

 

 

 

コストの掛かる検査

アレルギー検査、遺伝子検査など特殊な検査です。

保険が適用されていない検査もコストが掛かります。

 

あまり検査しない項目は検査機器や試薬などを維持するコストが他の検査よりも多く掛かってしまいます。

検査件数が少ないので、維持費を回収することが難しいです。

そのため、病院ではコストの掛かる検査は基本的に実施していません。

しかし、検査センターでは維持費などを回収するために他の業務で補ったりしているので、検査をすることが可能です。

 

 

 

まとめ

今回は病院と検査センターの検査内容の違いについて書きました。

病院では患者がいなければできないような検査や直ぐに検査しなければいけない検査などがあります。

これらは検査センターでは検査することができません。

しかし、検査センターでは病院が面倒くさいと思う検査内容を検査しています。

病院はお金に厳しかったりするので、お金が掛かる検査は基本的に検査センターに委託させています。

 

 

 

 

  • この記事を書いた人

ナオキ

中規模病院の臨床検査技師から一般企業に転職。 転職期間10ヶ月、応募数は100社以上。 →転職で給料と休日数アップ。 検査技師から一般企業への転職で自信がない、内定が貰えない人向けに記事作成

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