豆知識

細菌とウイルスの違い

2021年8月29日

細菌とウイルスは全く異なった生物です。

過去のブログでも細菌とウイルスに関する記事を書きました。

細菌の記事はこちらから

ウイルスの記事はこちらから

 

今回は細菌とウイルスの違いを比較しながら書いていきます。

 

今回の記事内容

  • 細菌は生物であるが、ウイルスは無生物の可能性がある
  • 大きさの違い
  • 検査方法の違い
  • ヒトに有益な細菌と無益なウイルス

 

 

 

そもそもウイルスは生物かどうか曖昧である

細菌は原核生物であり、一定条件の環境さえあれば、自己増殖して生きていくことが可能です。

しかし、ウイルスは宿主細胞がないと増殖・生存することができません。

自分自身で生きていくことができないことを考えると生物であるとは言いにくいです。

 

 

そもそも生物の定義は

  • 自己複製(コピー)を作ることができる
  • 代謝(エネルギーの流れ)をすることができる
  • 外界と膜で区別することができる

 

ウイルスは宿主細胞内でしか増殖することができず、自分自身で増殖することができません。

また、代謝もしませんし、外界と区別する膜がありません。

私はウイルスを生物と考えておらず、どちらかと言えば、無生物だと思っています。

 

細菌は生物の定義全てが当てはまりますので、生物であると言えます。

 

 

 

細菌とウイルスで大きさ違う

細菌の大きさは種類にもよりますが、約1μmです。

しかし、ウイルスは細菌よりも小さく約20~100nmです。

予備知識

1μm=1,000分の1mm

1nm=100万分の1mm

 

ナオキ
大きさで例えると、細菌はバスケットボール位でウイルスはゴルフボール位の大きさです

 

細菌は光学顕微鏡で観察することが可能ですが、ウイルスは電子顕微鏡でないと観ることができません。

一般的な病院や大学では光学顕微鏡しかないので、ウイルスを観察することはできません。

ウイルスを研究している施設でないと電子顕微鏡はありません。

ナオキ
電子顕微鏡は高価で普通の病院では取り扱えない代物です

 

 

マスクで細菌は防ぐことができるが、ウイルスは防ぐのが難しい

細菌はサージカルマスクや網目の細かいフィルターなどに引っ掛かるので、それ以上奥には進みません。

しかし、ウイルスは小さすぎるので、サージカルマスクやフィルターなど簡単に通り抜けてしまいます。

マスクでウイルスの侵入を防ぐためにはN95マスクしか方法がありません。

 

インフルエンザウイルスに感染しないためにはみんなN95マスクをすれば良いじゃないかと思いつきます。

しかし、N95マスクは高価で、呼吸し辛いです。

そのため、N95マスクは基本的に医療従事者しか使用しません。

 

そんな事をしなくても、ウイルスは手洗い、うがいで不活化できます。

そこまで恐れることはありません。

 

 

 

細菌は検査方法が多くあるが、ウイルスは検査方法が少ない

細菌は羊寒天培地などの培地で簡単に増殖することができるので、検査し易いです。

また、生化学的性状などの検査で細菌を特定することができます。

検査材料も血液、尿、喀痰、体腔液など様々あり、グラム染色で形態学的分類することが可能です。

 

 

しかし、ウイルスは宿主細胞がないと生きていくことができないので、培地で発育・増殖しません。

そのため、ウイルスの検査方法は細菌よりも少ないです。

ウイルスのタンパク質である抗原

ウイルスに感染して体内でできた抗体

ウイルスの遺伝子を調べるPCR

 

抗原は血清、綿棒などで鼻腔粘液や咽頭粘液を拭ったりして検査します。

抗体は基本的に血清中にしかないので、血清で検査します。

 

ウイルスは宿主細胞から離れてしまうと不活性化しやすので、なるべく直ぐに検査する必要があります。

PCR検査は死滅したウイルス遺伝子も検出してしまいます。

そのため、ウイルスの症状が治まっているにも関わらず、まだ体内にウイルスが残っている偽陽性になってしまいます。

 

 

 

人に有益な存在となる細菌もいる

細菌の種類によってはヒトの役に立つこともあります。

腸内細菌はヒトにとって無くてはならない存在です。

腸内細菌が腸の中にいるおかげで健康的に生活ができています。

皮膚など体の外にもある程度、細菌は存在しており、皮膚のバリアのような機能をしています。

また、納豆菌は納豆を作る上で欠かせません。

このように細菌はヒトにとって害悪だけでなく、有益な存在もいます。

 

 

ほとんどのウイルスはヒトにとって害悪な存在しかありません。

ヒトだけでなく、ブタやニワトリなどの動物においても有害な存在です。

 

 

 

まとめ

今回は細菌とウイルスの違いについて書きました。

 

細菌とウイルスは根本的に異なる生物であり、ウイルスに関しては無生物であると個人的には考えています。

また、大きさも細菌の方が大きく、ウイルスの方が小さいです。

ウイルスは小さいが故に不織布マスクをしても簡単に通り抜けてしまいます。

しかし、ウイルスは宿主細胞から出てしまうと柔いので、手洗いやうがいで予防できます。

 

細菌は検査方法が多くあり、検査材料も多くあります。

ウイルスは宿主細胞から離れてしまうと安定して生きていくことができないので、検査方法も限られています。

 

細菌はヒトとこれまで共存して生きてきましたが、ウイルスはヒトにとって害となる存在です。

 

他にも細菌とウイルスの違いがありましたら、また記事にします。

  • この記事を書いた人

ナオキ

中規模病院の臨床検査技師から一般企業に転職。 転職期間10ヶ月、応募数は100社以上。 →転職で給料と休日数アップ。 検査技師から一般企業への転職で自信がない、内定が貰えない人向けに記事作成

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