今回は大学病院のような規模が大きい病院とそれ以外の中・小規模病院で働く臨床検査技師の違いについて書いていきます。
私自身、中規模病院で勤務している臨床検査技師であり、私が感じた大規模病院との違いについて書きます。
大規模病院は病院実習での経験と私の先輩から聞いた内容を基に書いています。
ご了承下さい
注意ポイント
大前提として、臨床検査技師が1人以上病院に常勤し、検査に必要な機器、機材が揃っていることを条件とします。
今回の記事内容
- 大規模病院と中・小規模病院の担当部署の違い
- 当直帯などの勤務体制の違い
- 新人研修の違い
目次
大規模病院と中・小規模病院の定義
大規模病院と中・小規模病院に分ける定義は幾つかあると思います。
このブログ内では私の独断で勝手に大規模病院と中・小規模病院に分ける定義を設けました。
人によって異議異論あるかと思われますが、ご了承下さい。
定義分け
- 大規模病院の定義
特定機能病院、病床数が500床以上、2次救急以上、各科に常勤の医師がいる
- 中・小規模病院
特定機能病院、病床数が500床未満、2次救急以下、科によっては非常勤の医師がいる
1人の検査技師が担当する部署数が違う
大規模病院と中・小規模病院では1人の検査技師が担当する部署の数が異なります。
大規模病院では基本的に1部署しか担当しませんが、中・小規模病院では複数の部署を掛け持ちすることがあります。
中・小規模病院は大規模病院のように人が多くい過ぎると、仕事がない人やただ突っ立ているだけの人が出てきてしまいます。
そのため、各病院に合った人のバランスが大事になります。
ポイント
大規模病院は基本1人の検査技師は1部署しか担当しない
中・小規模病院は1人の検査技師が複数部署兼任することがある
大規模病院の場合
大規模病院は1人の検査技師が担当する部署は基本的に1部署です。
血液検査に配属が決まった場合、他の部署への異動はほとんどないです。
特に病理検査と輸血検査、微生物検査は専門性が高いので、異動はほとんどないです。
大規模病院は1人の検査技師をスペシャリストとして育てることが多いです。
そのため、基本的に他部署への異動はありません。
生化学検査、血液検査、一般検査のような検体検査系では異動があるかもしれませんが、いきなり生理機能検査に異動というのはないかもしれません。
中・小規模病院の場合
中・小規模病院は1人の検査技師が複数の部署を兼任することがあります
血液検査、一般検査、腹部エコーのように複数兼任して仕事をします。
専門性の高い輸血検査でも他部署と兼任していることがあります。
中・小規模病院は1人の検査技師が幾つもの検査をできるように育てることが多いです。
4、5部署を掛け持ちする人もおり、どこかで人手が足りないところにヘルプとして手伝うことがあります。
今日の午前中は生化学検査、午後は腹部エコーということもあります。
中・小規模病院は限られた人数で効率良く仕事をしていかなければいけません。
検査する部屋の場所
大規模病院では検体検査室はこの場所にあって、生理機能検査室は別の場所にあるといった感じです。
中・小規模病院では検体検査室と生理機能検査室が1カ所にまとまっていることが多いです。
しかし、病院によっては大規模病院と同様に検体検査室と生理機能検査室がそれぞれ違う場所にあることもあります。
大学病院の場合
大規模病院は臨床検査技師が仕事をする部署が多くあり、各部署の部屋は1カ所にまとまっておらず、病院のあちこっちに点在しています。
1例として、病理検査室は手術室のそばにあります。
病理検査は手術中に提出される術中迅速病理診断をするために手術室のそばにあることが多いです。
検体検査室は外来診察室の近くにあることが多いです。
病院にもよりますが、外来診察室から少し離れたところにある場合もあります。
入院患者の検査もしますが、日中は外来患者さんの検査がメインであり、採血してからすぐに検査をする必要があります。
その他の生理機能検査室や微生物検査室、輸血検査室はそれぞれ異なる場所に存在します。
看護師さん的には検体を届けに行く場合、あっち行ってこっち行ってと面倒かもしれません。
中・小規模病院の場合
中・小規模病院は基本的に1カ所にまとまっていることが多いです。
中規模病院でも500床近くある病院は検査する部署が多く、検査する部屋もあっちこっちにあります。
それ以外は基本的に検体検査室と生理機能検査室などが1カ所にまとまっていることが多いです。
1人の検査技師が色々な部署をカバーすることを考慮するとなるべく1カ所にまとまっている方が良いと思われます。
当直・夜勤帯
当直や夜勤帯の勤務体制は病院によって異なります。
大規模病院は各部署に1人の当直者がいますが、たまーに人件費などの理由で部署に関係なく当直者1人ということもあります。
中・小規模病院は大体当直者は1人しかいません。
そのため、あらゆる検査にマルチに対応しなければいけません。
大規模病院の場合
大規模病院は検体検査に最低でも1人、輸血検査に1人、当直者がいます。
病院によっては検体検査に2人いることもあります。
輸血検査は重症患者が運ばれてきた際に直ぐに対応できなければいけないので、必ず1人はいます。
生理機能検査、病理検査は基本的に当直者はいません。そもそも、心電図やエコー、病理検査を夜中に検査することはほとんどありません。
中・小規模病院の場合
中・小規模病院は基本的に1人しか当直者がいません。
救急患者の検査、至急の輸血などを1人で検査をしていきます。
病院の人件費を抑えるために当直者が1人なのかと思います
休日の土曜日や日曜日、祝日も上記に書いた人数です。
基本的にこれ以上人数は増えることはありませんが、検査機器の不調などで担当者が呼ばれることがあるかと思われます。
新人研修
新人研修は誰もが必ず実施する研修です。
研修期間や研修内容も病院によって様々です。
その後、配属された部署の研修をしていく感じでした
大規模病院の場合
大規模病院は病院によって新人研修は異なります。
新人研修は全部署研修する病院もあれば、配属された部署の研修だけの病院もあります。
病院によっては採血は全員必須という病院もあります。
全部署研修する病院は夜勤・当直帯に対応できるために研修することが目的のことが多いです。
中・小規模病院の場合
中・小規模病院は基本的にすべての部署の研修をします。
夜勤・当直帯に1人で全てに対応する必要があります。
ポイント
中・小規模病院の場合、新人研修は夜勤・当直帯に対応するための研修
お昼当番
お昼当番は病院によって様々ですが、各部署に最低でも2人くらいはいると思います。
午後の診察前の検査などで昼番帯に検査をすることがあります。
そのため、大規模病院は各部署に昼当番の人が数人いると思われます。
中・小規模病院では複数部署を2~3人程度の人数で昼当番をします。
検体の数が多かったり、心電図検査が多かったりすると、大変なこともあります。
本当に忙しいときは人手が足りないです。
ポイント
お昼当番帯は少人数で検査をしている
その他
大規模病院では検査技師の仕事以外にも論文の発表や勉強会、研究等をしている病院があります。
勉強会等を実施することで他の検査技師と共有し合います。
これらをしないと昇格や評価をしてくれない病院があります。
そのため、このような病院で勤務する人たちは勉強熱心な方々がいます。
中・小規模病院でも勉強会を実施している病院はありますが、研究や論文の執筆をしている人はあまりいません。
中・小規模病院に勉強熱心な人がいない訳ではなく、あまり研究などに時間を割くことができないことが多いです。
自分の担当している部署が多い場合、仕事が終わらないので、研究をしている暇がないこともあります。
個人的に勉強をしている人も勿論いますが、それを他の検査技師と共有する機会がない場合もあります。
また、ギリギリの人数しかいない場合は検査機器のメンテナンスなどでそもそも時間が無い場合もあります。
ポイント
大規模病院では勉強会や研究などをしている
中・小規模病院も病院によって勉強会を実施しているところもあるが、研究はできない場合もある
まとめ
今回は大規模病院と中・小規模病院の違いについて書きました。
大規模病院と中・小規模病院では1人の検査技師が担当する部署の数が異なります。
これは大規模病院と中・小規模病院の代表的な違いだと考えています。
検査技師の仕事をマルチにしたいという人には中・小規模病院がお勧めです。
大規模病院は検査技師が学校で学ぶ全ての検査内容を検査できるので、部署数も多くなります。
各部署が病院の違う場所にあることがザラです。
この他にも働いている人数や勤務体制、研究などで大規模病院と中・小規模病院で違いがあります。
正直、大規模病院と中・小規模病院で優劣をつけることはできません。
私自身、中規模病院に勤務していますが、後悔したことがありません。
このブログ内に書かれていない内容もあり、全ての内容が正しい訳ではありません。
参考にして頂けたら幸いです。