検査技師の業務

検査の優先順位

2021年7月25日

仕事や勉強などにおいて優先順位を付けて物事を処理していくと思います。

検査においても優先順位が高い検体から処理をしていきます。

 

今回は優先順位が高い検体や検査について書いていきます。

必ずしも採血した順に検査をしている訳ではありません。

 

今回の記事内容

  • 検体検査の優先順位
  • 検体検査よりも優先的に髄液を検査する理由
  • 検査に時間が掛かってしまう理由

 

 

 

救急の検体は優先順位が高い

検体検査の優先順位は

救急>化学療法(ケモ)>外来>病棟、健康診

になります。

 

 

当然のように救急の患者さんは直ぐに処置や治療が必要な患者さんなので、第一優先です。

化学療法をしている患者さんは抗がん剤治療をしているので、早めに結果を出さなければいけません。

 

外来の患者さんで直ぐに治療や処置が必要という人は少ないです。

大体、『結果が出るまで1時間位掛かります』と看護師さんから言われることがあります。

午前中など混んでいる際は1時間位結果が出るのに時間が掛かります。

また、検査において通常の数値よりも上限や下限を超えた場合は再検査になりますので、結果が出るのが遅くなります。

 

 

病棟、健康診断の患者さんの結果は比較的優先順位が低いです。

そもそも、病棟の患者さんは朝の採血でデータがほぼ出ているので、日中に採血するこはあまりありません。

手術後に状態を知りたい場合は採血をすることがあります。

 

健康診断の患者さんは元々健康な人が年に1回程度受ける検査なので、優先順位は低いです。

たまーに検査数値が高い人もいますが、稀です。

緊急性はほとんどなく、直ぐに外来で診察することは滅多にありません。

 

 

 

救急患者は検査結果によって治療方針が決まる

救急車で運ばれる患者さんの検体は優先順位が高いです。

1分1秒を争う患者さんもいますので、直ぐに結果を出さなければいけません。

 

採血結果によって治療が決まります。

貧血の場合は輸血したり、脱水していたら点滴を入れたりします。

また、CREの値やeGFRの結果によって造影CTを撮るかどうかを決めることもあります。

 

緊急opeをする場合もあり、その際はなるべく早く結果を出すようにしています。

 

 

至急の場合

至急で患者さんの状態を知りたい場合は血液ガス(血ガス)で測定します。

血ガスは1分くらいで結果が出ます。

 

 

 

 

化学療法をしている患者さんは検査結果によって治療方針が決まる

化学療法(ケモ)は抗がん剤で治療をしている患者さんの治療法です。

 

抗がん剤はがん細胞をやっつける薬ですが、正常な細胞にまで影響を与えてしまいます。

特に骨髄や粘膜、肝臓などに影響を与えます。

そのため、採血結果で抗がん剤を続けるかどうかを決まります。

 

 

抗がん剤を投与するか否かは次の通りです。

  • 白血球数(WBC)や血小板数(Plt)が低い
  • 肝臓の酵素の数値が高い
  • 腎機能の低下

がある場合は抗がん剤を投与するのを見送ります。

 

 

 

抗がん剤の投与に時間が掛かる

抗がん剤を投与する時間は2時間以上掛かることがあります。

採血結果が中々出ないと、その分抗がん剤を投与する時間も遅くなります。

 

採血した後に診察があり、体調や採血結果を考慮して抗がん剤を投与します。

抗がん剤を投与するまででも1時間以上掛かります。

 

 

トータルで半日以上を病院で過ごすことになります。

患者さんのためにも採血結果は早めに出しています。

 

 

 

 

外来患者さんは検査結果に1時間位掛かる

救急の患者さんと化学療法をしている患者さんは優先的に採血結果を出す必要があります。

その次に外来の患者さんの結果を出さなければいけません。

外来の患者さんは採血後に診察または再診察のパターンが一般的です。

 

 

外来患者さんは採血するのに待たされ、採血後の診察まで1時間以上待たされることがあると思います。

午前中など混んでいる際は1時間以上の時間が掛かる場合があります。

どうしても検体が多いと、検査結果が出るのに時間を要してしまいます。

 

造影CTを撮るかどうかを決めるために至急で検査をするように指示されることもあります。

その際は優先的に検査をします。

 

 

採血後にCTやレントゲン、心電図、エコー検査がある場合がありますので、その間に結果が出ていたりします。

寧ろ、診察で待つことがあるかもしれませんん。

ナオキ
患者を多く持つ医師は本当に患者さんが多く、診察待ちの方が長い場合もあります

 

 

 

 

病棟の患者さんは基本的に朝採血している

病棟の患者さんは基本的に朝採血をしていますので、日勤帯に採血することはあまりありません。

追加で検査することもありますが、基本的に朝採血した検体で検査します。

医師のオーダーの入れ忘れや患者さんの様態が急変した場合は採血をすることがあります。

 

 

患者の経時的変化を知りたいために時間を指定して採血することがあります。

手術後患者の状態を把握するために採血することもあります。

 

 

 

 

健康診断は優先順位が低い

健康診断を受けに来る人は元々健康と思われる人が受けにくるので、基本的に優先順位は低いです。

結果を直ぐに知りたい人は院内で測定しますが、それ以外は基本的に外注に委託させます。

健康診断の結果は大体、後日郵送などが多いので必然的に院内で測定する際の優先順位は低いです。

 

 

 

検査数値が高い人もいますが、今すぐに治療が必要という人はほとんどいません。

極稀に外来で診察を受けて下さいという人がいますが、本当に極稀です。

ナオキ
私が働いていて、健康診断から外来にすぐ受診した人は1人しかいませんでした

 

 

 

髄液検査は直ぐに検査しなければいけない

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血液検査は優先順位がありますが、血液検査よりも優先的に検査をしなければいけない検査があります。

髄液(リコール)は直ぐに検査をしなければいけません。

 

髄液中の細胞は不安定であり、変性しやすいので直ぐに検査をしなければいけません。

どんな検査があっても髄液(リコール)だけは超最優先で検査をしなければいけません。

時間が経過すると細胞が消えてしまったり、単核球と多核球の区別がつかなくなったりします。

 

 

ポイント

髄液(リコール)は直ぐに検査しなければいけない

 

 

 

 

検査する機械は1件ずつしか検査できない

検査に時間が掛かってしまうのは理由の1つに検査する機械が1件ずつしか検査できません。

よくテレビで、10個ある検体を一気に検査するような映像を目にします。

しかし、そんなハイテクな機械は検査技師が取り扱う機械にはありません。

検査技師の取り扱う機械は正確に検査することが重要であり、検体の処理能力に重きは置いていません。

処理能力に重きを置いてはいませんが、10年位前に製造された機械は早く処理をしています。

 

 

検査技師が取り扱う機械は1件ずつしか検査することができません。

特に生化学検査においては試薬と反応させて吸光度を測定します。

血清と試薬を反応させるためのセルは数が限られています。

 

仮に10件一気に検査をするとなれば、相当な量のセルが必要となります。

また、吸光度を測定して計算するPCのスペックも相当高くないと処理しきれません。

 

 

 

 

検査する機械を増やすことはできない

検査する機械が1件ずつしか検査できないのであれば、機械を増やせばいいのではないかと思う人もいると思います。

それは難しい内容になります。

 

そもそも機械は大きく、設置するための場所が必要になります。

もし、大量の機械を導入するとなると、工場並みに広い場所が必要になります。

病院にはそのような広い土地を借りたり、購入するような場所はあまりないです。

そのため、病院には必要最低限の機械しかありません。

 

 

費用の面に関して、1台の機械を購入またはレンタルするにしても莫大な費用になります。

臨床検査技師が取り扱う機械だけでなく、放射線技師が取り扱うレントゲンやCT、MRIもあります。

色々な機械を購入またはレンタルしてしまうと病院の経営が赤字になってしまいます。

病院の費用も考える必要があります。

ナオキ
病院も黒字を目指して運営をしています

 

 

ポイント

  • 測定する機械を導入するには場所が必要になる
  • 購入またはレンタルするにも費用が掛かる

 

 

まとめ

今回は検査の優先順位について書きました。

 

救急患者の検体は優先順が高く、治療方針が決まるかもしれないので、直ぐに結果を出します。

次に化学療法(ケモ)の患者さんです。

ケモの人は抗がん剤を投与するかどうかが決まり、投与するとなった場合、投与する時間は長時間掛かります。

 

外来患者、病棟患者、健康診断の順番で検査をしていきます。

 

 

例外的に髄液(リコール)は最優先的に検査をしなければいけません。

細胞が変性する前に検査する必要があります。

 

 

皆さんが勉強や仕事で優先順位を付けるように検査技師も優先順位を付けて検査をしています。

 

  • この記事を書いた人

ナオキ

中規模病院の臨床検査技師から一般企業に転職。 転職期間10ヶ月、応募数は100社以上。 →転職で給料と休日数アップ。 検査技師から一般企業への転職で自信がない、内定が貰えない人向けに記事作成

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