検査技師

検査結果が保証されている仕組み

2021年5月23日

皆さんは採血結果を見て、不信に思うことなくそのまま結果を信じていると思います。

A病院ではASTやALTなどの肝臓の数値が高かったけど。B病院では基準値だったなんていうことはあってはいけないのです。

また、毎回の採血で検査数値が点々バラバラであっては検査結果が保証されていません。

寧ろ、あってはいけません(数値が全く一緒ということはなく、多少の誤差はあります)。

 

どの病院で検査しても同じような数値になり、どの検体を検査していも数値が保証されていないと意味がないです。

医師や看護師なども検査数値がほぼ正確であると信じて診察や治療をしています。

 

そのために、どの医療施設でも検査結果が保証されるように精度管理を実施します。

これにより、A病院の検査結果とB病院の検査結果がほぼ同じ数値として評価されます。

もっと言うと、全国どこで検査してもほぼ同じ数値として結果がでてきます。

 

今回は精度管理について書いていきます。

 

今回の内容

  • そもそも精度管理とは何であるか
  • 精度管理には内部精度管理と外部精度管理がある

 

 

 

 

精度管理のメインは検体検査系

ポイント

精度管理のメインは生化学検査や血液検査、一般検査などの検体検査

検体検査系は機械が検体を測定しますので、機械や測定する試薬、コントロール試料などに問題が無いかを知る必要があります。

そのために精度管理を実施します。

 

 

勿論、心電図やエコーなどの生理機能検査も機械で測定していますが、検査技師の技量も関係してきますので、あまり機械に依存していません。

心電図は電極の付け間違いにより波形が異なり、エコーは技師の技量によるものであるため、精度管理は必要としません。

 

しかし、生化学検査や血液検査は測定する機械に依存していますので、機械がないと何もできません。

極端なことを言うと、検査技師の技術は必要なく、機械で測定した検査結果を見て解析する力が必要となります。

 

 

 

 

精度管理

そもそも精度管理とは何であるかを書いていきます。

 

ポイント

精度管理は検査結果の総合的な信頼性を維持・向上させるためのシステム

 

分かりやすく言うと、検査結果が客観的に評価できるように保証されているということです。

 

 

もし、精度管理を怠ったら、毎回の検査結果が違う数値になり、信憑性が無くなります。

検査結果が変わってしまうと、治療や処方する薬なども変わってしまいます。

検査結果がいつ、誰が見ても、客観的に信頼できるように毎日精度管理をする必要があるのです。

 

 

 

精度管理にも内部精度管理と外部精度管理があります。

内部精度管理は各病院や医療施設内で実施する精度管理ことを言います。

外部精度管理は日本医師会などの外部から送られてくるサンプルを測定して結果の精確性を判定する精度管理を言います。

 

 

 

 

内部精度管理

自分の施設で実施する精度管理のことを言いますが、これは毎日実施します。

誰が見ても客観的に評価できるようにするために1日数回精度管理を実施します。

 

 

ポイント

内部精度管理に使用するコントール試料で各項目が許容範囲以内に入っているかを調べる

各測定項目が許容範囲以内に入っていることを確認したら、患者さんの検体を測定することができる

 

許容範囲はコントロール試料のターゲット値±2SD以内のことを指します。

項目によってターゲット値は異なり、2SD以内に収まってれば問題ないと見なされます。

 

 

 

許容範囲から外れた場合は試薬の交換、コントロールを新しくしたり、キャリブレーションを実施したりします。

ナオキ
試薬やコントロール試料は牛肉のように生物(なまもの)と同じですので、長持ちしない項目もあります

 

 

試薬の劣化により許容範囲から外れることがあるので、この場合は試薬を新しく交換し、再度コントロールを流して許容範囲に入っているかを確認します。

コントロール試料も劣化していると許容範囲から外れることがあるので、新しいコントール試料を使用して許容範囲に入っているかを確認します。

この2つの方法をしても許容範囲から外れるようであれば、標準血清を使用してキャリブレーションを実施します。

 

キャリブレーションは標準血清を使用して検査結果が常に一定の値になるように調整することを言います。

キャリブレーションを実施すると、ターゲット値と同じ値もしくは近い値にすることができます。

 

 

このようにして内部精度管理を実施しています。

 

 

 

外部精度管理

日本医師会などの外部から値が不明なサンプルが送られてきで、自分の病院などの施設で使用している機械などで測定をします。

 

ポイント

外部精度管理の目的は自分の施設の精度管理が他の医療施設と比較して問題ないかを知る

 

自分の医療施設の精度管理を客観的に知ることができる唯一の方法です。

外部精度管理に問題癌あるかどうかの判断はサンプルを送ってきた外部の組織が判断します。

評価方法はA、B、Cで判定されることが多いです。

 

ナオキ
定期的に実施するもので、年に1回実施します

 

外部精度管理でC評価やD評価などの低評価になってしまった場合は、何に問題があるのかの原因を調べます。

そして、原因を是正していきます。

 

 

 

まとめ

精度管理は主に機械を取り扱う生化学検査や血液検査で毎日実施します。

精度管理は客観的に検査結果を見るために必要なことであり、維持・向上させていかなければいけません。

これにより、皆さんの採血結果を客観的に評価して、医師は処置や処方箋を出すことができます。

皆さんが検査結果を渡された際に自分の体の状態を把握することができます。

 

  • この記事を書いた人

ナオキ

中規模病院の臨床検査技師から一般企業に転職。 転職期間10ヶ月、応募数は100社以上。 →転職で給料と休日数アップ。 検査技師から一般企業への転職で自信がない、内定が貰えない人向けに記事作成

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